お肌をよくするにはまずお腹から!
2024.11.01
こんにちは!ゆかスキンクリニック青木由佳です。
すっかり秋の気配で朝の散歩が清々しい季節になりました。山も色づき始め、紅葉が楽しめる季節ですね。
ゆかスキンクリニックでは外側からの治療だけでなく、内側からのケアも提案しています!
老化や肌トラブルは肌表面だけでなく、体全体のバランスを整え、慢性炎症を抑え、老化細胞を作りにくくすることが重要です。その基本はいつも繰り返し言っていますが、睡眠・食事・運動です。その次に美容医療や化粧品・サプリメントなどがあります。
ということで、ゆかスキンクリニックでは慢性的なお肌のトラブルがある方には、まず体の調子をお聞きすることが多いです。その中でもお腹の調子をお聞きすることが多いです。だいたい便秘や下痢、お腹の張りなどを抱えている方が多く、自分で気づいていなくても不調を抱えているケースもよくあります!腸内ケアという言葉もよく聞くようになりましたし、腸に住む腸内細菌の重要性も一般的になってきましたね。
腸、脳、皮膚はそれぞれ密接に関連しており、『腸-脳-皮膚相関』と呼ばれています! 腸、脳、皮膚は互いに影響を及ぼし合っており、例えば腸内環境が乱れると脳に影響を与え、ストレスや不安感が増加することがあります。その結果、皮膚にも悪影響が及び、肌荒れや炎症が生じることがあります。
さらに、お肌の状態も脳に影響を与えることがあります。例えば、慢性的な肌トラブル(ニキビや湿疹など)が続くと、自己評価が低下し、ストレスや不安感が増すことで、腸内環境を悪化させる可能性があります。また、皮膚のバリア機能が低下すると、外部からの刺激に敏感になり、身体全体の免疫反応が過剰になることもあります。
また、腸は多くのホルモンを産生しており、感情のコントロールにも深く関わっています。例えば、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの約90%が腸で産生されており、これは心の安定に大きく寄与しています。ストレスがかかると胃腸の調子が悪くなり、同時にコルチゾールというストレスホルモンが増加することで、皮膚の免疫力も低下し、肌荒れや乾燥が進行しやすくなります。
腸は外界と内側を隔てるバリアであり、多くの免疫細胞が配置されています。実は私たちの免疫システムの中心的な役割を果たしていて、腸内細菌層、粘膜バリア、上皮バリア、そしてタイトジャンクションなど、複数の防御機構が腸内環境を守っています。
(Compare, D., et al. (2024). The Leaky Gut and Human Diseases: “Can’t Fill the Cup if You Don’t Plug the Holes First”. Digestive Diseases. DOI: 10.1159/000540379 より引用)
タイトジャンクションは腸粘膜の細胞同士をしっかりと結びつけることで、有害物質や病原菌が血液中に侵入するのを防いでいます。このタイトジャンクションは実は複数のタンパク質から構成される精巧なシステムです。
主なものとして:
- ①ZO-1(ゾヌラオクルデンス-1):細胞骨格と結合して構造を支える足場タンパク質
- ②オクルディン:バリア機能の調節に重要な膜貫通タンパク質
- ③クローディン:選択的な物質の通過を制御する膜貫通タンパク質(20種類以上存在)
これらのタンパク質が協調して働くことで、必要な物質は通し、有害な物質は通さないという選択的なバリアを形成しています。
上皮バリアは腸上皮細胞の他にもいろんな細胞(免疫を司る細胞や粘液を作る細胞やペプチドホルモンを分泌する細胞など)があるのですが、なんと1層しかありません。1層というと心許ないように感じるかもしれませんが、実際には腸内細菌の層や上皮の粘液産生細胞から出る粘液による粘液バリア、そしてタイトジャンクションによって、体内に入ってほしくない物質を締め出し、必要なものを取り込むシステムがしっかりと機能しています。必要な物質の取り込みには二つの経路があります:
- 傍細胞経路:タイトジャンクションを選択的に緩めて、細胞の間から必要な物質を通過させる
- 経細胞経路:細胞自体を通過させる(特に脂質や小さな親水性の物質)
このような精巧な選択システムによって、必要な栄養素は取り込みながら、有害な物質は排除することができています!
<リーキーガットとその影響>
しかし、これらのバリアが弱くなると、腸粘膜の透過性が増し、腸内にある未消化の食べ物や毒素が血流に入り込んでしまう状態、これがいわゆる”リーキーガット症候群”です(Leaky=漏れる、Gut=腸)。
本来は体内や血中に入るべきではない大きなタンパク質や細菌が漏れ出すことで、全身の免疫反応や炎症を引き起こし、倦怠感やアトピー性皮膚炎、ニキビなどの肌トラブル、さらにはブレインフォグと呼ばれる頭にかすみがかかったような状態を引き起こすことがあります。
実はほとんどの人が程度の差はあれリーキーガットの状態にあるのではと思っています。現代の生活習慣(ストレス、睡眠不足、加工食品の摂取など)が、知らず知らずのうちに腸のバリア機能に影響を与えているからです。
このタイトジャンクションは腸だけでなく、お肌にも存在します。皮膚のバリア機能も同様のタンパク質(クローディンやオクルディンなど)によって維持されているのです。お肌もリーキーな状態、つまりバリア機能が低下すると、水分保持機能が低下して乾燥したり、外部からの刺激や細菌に対する防御力が弱まって肌トラブルが起きやすくなります。このように、腸と皮膚は似たようなバリアシステムを持っており、両方のケアが大切なのです。
<リーキーガットの改善方法>
リーキーガットを起こさない・改善するためには、以下のアプローチが効果的です:
- 加工食品を減らす – 防腐剤や添加物・異性化糖(フルクトース)は腸内環境に悪影響を及ぼすため、できるだけ自然な食品を選びましょう。スーパーやコンビニには、従来の加工食品とはかけ離れた『超』加工食品が多くあります。日持ちをさせるためや、食感・色を改善させるためや、味に依存性をださせたり味覚破壊を起こしたりする添加物が入っているものもたくさんあります。とはいえ、毎週ファーマーズマーケットや道の駅に行けるわけでもないので、私もスーパーでお買い物をよくします。できるだけ、手のかかっていないそのままのお野菜や昔ながらの製造方法や原料の調味料や加工食品(この場合は豆腐や納豆など)を選ぶようにしています。不思議と『超』加工食品を避けていると、『超』加工食品の強い味付けが苦手になってきて自ら選ばなくなってきます。なんでもかんでも食べちゃダメ、という息苦しさを感じずに、自分が取り入れる食べ物を選ぶことはとても大事なことという認識を持って、楽しみながら知識をつけて、より自分にとって良いものを選んでいけるようになるといいですね!
- 糖質を減らす – 過剰な糖分は腸内の悪玉菌を増やし、炎症を促進するため、控えることが推奨されます。特にフルクトースはタイトジャンクションの機能を低下させることが分かっています。私も甘いものが好きでなかなか減らせないのでこまっています。特にフルーツが大好きです。フルーツには健康的なイメージがありますが、実は果糖(フルクトース)がたっぷり含まれています。特に最近のフルーツは品種改良がすすんでより甘くなってますもんね。できるだけ、おやつをフィッシュアンドナッツに変えたり、ささみのジャーキーを作ったりして(犬用と人用を作っており、オーブンに入れるだけなのでとても簡単です)。できるだけタンパク質をおやつに置き換えるようにしています。大好きなフルーツは以前と比べるとずっと食べる量が減ってきました。おやつに含まれる糖分も異性化糖(フルクトース)が多く、少し食べるともっと食べたくなってしまうこともあるので、食べるおやつを選ぶことも大事ですね!
- 消化を高める – 食物繊維や消化酵素を含む食材を摂取し、消化機能をサポートしましょう。食前に酸っぱいものを摂って胃酸の分泌を促したり、大根おろしなど消化酵素が含まれた食材を食事と一緒に摂ることも効果的です。私は外食などしっかりとご飯を食べる時は消化剤のサプリメント『スペクトラザイム』を使用しています。
- 良い腸内細菌を増やす・環境を整える – プロバイオティクス(善玉菌)やプレバイオティクス(善玉菌のエサ)を積極的に摂取し、腸内フローラを健全に保つことが大切です。健康な腸内細菌は食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸を産生します。短鎖脂肪酸は腸管上皮のエネルギー源となり、腸の粘膜バリア機能を強化するほか、炎症を抑制し、免疫系の調節にも重要な役割を果たします。特に酪酸は腸管上皮細胞の増殖と分化を促進し、タイトジャンクションの形成を助けることでリーキーガットの改善に直接的に貢献します。日本には納豆をはじめ糠漬けやお味噌など発酵食品がたくさんあります。キムチも身近で手に入りやすいですね!(キムチは発酵させてる風なだけのもあったり添加物多いのもあるのですが)私は関西出身なので、納豆がすごく好きというわけではないのですが、手軽に一品タンパク質が摂れるのでよく食べています。選ぶ基準は国産大豆(北海道産大豆がベター)で納豆のたれは添加物が多いので使ってません。お味噌も常温の棚にあるものは生きている菌はほぼいません。冷蔵保存のには活性のある菌がいる可能性があります。生きている菌がいなくてもお味噌を作る過程で作られた発酵産物が入っているのでまったく効果がないわけではないのですが、私は極力要冷蔵の生味噌を買うようにしています!また、自分で豆乳からヨーグルトを作ったりしています。(クレアラボさんのコンプリートバイオティクスというプロバイオティクスはいきていてヨーグルトに向いている菌も入っているのでヨーグルトができるんです。)
- 腸粘膜の回復を促す栄養素 – ビタミンA、ビタミンD、亜鉛、そしてグルタミンなどの栄養素は腸粘膜の修復に役立ちます。特にグルタミンは腸の健康維持に最も重要な栄養素の一つとされています。グルタミンは腸上皮細胞の主要なエネルギー源となり、タイトジャンクションタンパク質の発現を増加させることで、バリア機能を強化します。さらに、炎症を抑制し、細胞の修復を促進する効果もあります。これらの栄養素を意識的に摂取することで、腸内バリアの強化が期待できます。食事の改善は一番に大事ですが、やはりサプリメントを入れると回復が早く実感もあります。当院ではグルタミン+肝臓のグルタジェニクスがとっても人気です。
- 適度な運動を行う – 適度な運動は腸の血流を増加させ、消化機能を改善し、腸内フローラのバランスを整える助けとなります。また、ストレスを軽減することで、腸脳皮膚相関を良好に保つ効果もあります。
- 質の良い睡眠を確保する – 睡眠は身体全体の修復とリカバリーに重要です。質の良い睡眠は腸内フローラのバランスを整え、腸粘膜の修復を促進します。また、十分な睡眠はストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させ、腸と皮膚の健康維持に役立ちます。私は自分の睡眠を見直そうと睡眠を測る指輪をつけて寝ています。そうすると、やはり寝られていない日は気力がなかったり、お肌の調子がイマイチだったりします。運動した日は睡眠の質がよかったりいろんなことに気付かされます!
色々気をつけるところがありますが、本当はとっても基本的なことなんですよね。いきなり全てを改善するのは難しいですが、少しずつ生活に取り入れていきましょう!