院長ブログ

ゆかスキンクリニックは、患者様お一人お一人の肌の状態に真剣に向きあい、
健康で美しいお肌づくりをサポートいたします。

最近話題のアゼライン酸とは?

2024.03.06

テーマ:

こんにちは。ゆかスキンクリニック院長の青木由佳です。

 

この時期になると高校生の頃にならった古今和歌集の和歌

『世の中に 絶えて桜のなかりせば 人の心はのどけからまし』が頭に浮かびます。

もうすぐ桜がさくのではないかと、犬の散歩中に上をみあげては桜の開花をチェックする毎日ですが、

三寒四温とはよくいったもので、あったかい日が来たかと思えば、また寒くなるの繰り返しですね。

明日にはまた雪も降るかもということで、皆様お気をつけください。

 

さて本日は『アゼライン酸』についてです。

『アゼライン酸』は海外では『酒さ』や『にきび』に対して昔からよく使われています。

もともとメラニン生成を抑える『美白剤』として開発されていたものは、ニキビへの効果が認められるとして世界80ヵ国で

ニキビ用医薬品として承認され30年以上皮膚科で使用されています。

アゼライン酸の効果は

  • 抗菌作用: にきびの原因となるアクネ菌の増殖を抑制
  • 抗炎症作用: にきびや他の炎症性皮膚疾患の炎症を減少
  • 角質溶解作用: 皮膚の表面における角質層の厚みを減少させ、毛穴の詰まりを防ぐ
  • 色素沈着の改善: メラニン生成の過程に干渉し、特に炎症後の色素沈着や肝斑の治療に効果がある

が挙げられます。

 

コロナ禍のマスクで口医皮膚炎や酒さの患者さんが増えたときに使用されることが増えたからなのかと勝手に思っているのですが、去年くらいからアゼライン酸が注目されはじめて、当院でもロート製薬さんの『DRX AZAクリア』とエムディアさんの『MLAクリアエッセンストナー』にアゼライン酸がふくまれているので、それを買い求めに来る患者さんも増えています

 

私自身『アゼライン酸』についての知識や使用経験はありましたが、それ以外の方法を使ってしまうことが多くて

開業当初は『アゼライン酸』を取り扱ってはいませんでした。

とある患者さんにであうことがあって、色々調べるうちに、『にきび』や『酒さ』に効くというだけでない『アゼライン酸』の魅力を知り、数年前から、当院でも取り扱いをはじめました。

その患者さんは額に茶色い色素斑がでていて、大学病院で生検までして『炎症後色素沈着』という診断を受けていました。

炎症後色素沈着だから美容のクリニックに行ってね、といわれてうちに来たのです。

炎症後色素沈着にしては茶色い色素斑のでかたがすごく特徴的だなぁと思いながら、ひとまず保存的に『ハイドロキノン』と『トレチノイン』を使用してみよう。まず外用剤で経過を見ました。経過はよかったのですが、茶色い色素斑が抜けてくると

もともと白斑もあったことに気づいてきて、やはり普通の色素斑ではないなぁと思っていたところ、昨年のIMCASで

『linear fusca』とうかなり特殊な疾患(なんなら日本語での病名ないんじゃないかな・・・)が紹介されていて、

それがすごくその患者様の色素斑の出方ににていたので治療法について調べてた結果、アゼライン酸で治療に成功した例が紹介されていたのです。その関連文献にアゼライン酸の『にきび』や『酒さ』だけでないいろんな効果があることを紹介されているのを読んだのです。

その文献がこちら

Stefania Briganti(2013),Azelaic acid reduced senescence-like phenotype in photo-irradiated human dermal fibroblasts: possible implication of PPARγ . Exp Dermatol 2013 Jan;22(1):41-7.

 

簡単にいうと、アゼライン酸はにきびとか酒さに使われているけれど、使っている人の肌質も改善されてるってところから色々調べたら、抗炎症効果や抗酸化作用もとっても強く抗老化作用もありそうだよという内容です。

やはり肌の慢性炎症を抑える、そして酸化ストレスを抑えるというのが美しいお肌には欠かせないので、抗菌作用にとどまらないアゼライン酸を使用してみたくなりました。

おりしもその頃はまだコロナ禍で、マスクによる口囲皮膚炎やしゅさの患者さんも多く来院されていたというのもあって、『DRX AZAクリア』を導入しました。

また、去年くらいから当院で扱いのあるエムディアからもアゼライン酸のほか、マンデル酸・乳酸のほかEGFや、ナイアシンアミド、アラントイン、ヒト皮膚同一型セラミドなどが入っている『MLAクリアエッセンストナー』が販売されたので採用しています。

 

使い分けに関しては、『DRX AZAクリア』はアゼライン酸濃度が20%ということで結構しっかりはいっていますが、ミネラルオイルが入っているんですよね。メーカーさんも問題ないというし、現在のミネラルオイルは精製がよくなっているので酸化しにくいと言われていますが、個人的にはやはりミネラルオイルってあまり好きではなくて、特にニキビ肌。脂性肌の人や、脂漏性皮膚炎が起きている人の脂漏部位には使用したくないな、と思うので、脂多めの肌の人、顔全体への使用をしたい人にMLAをおすすめして、にきびでもスポット使用や酒さの人、口医皮膚炎の人にはAZAクリアをおすすめすることが多いです。

私も結構脂性肌なので、AZAクリアではなくMLAを使用しています。酸なので少し刺激を感じたり、冬だと少し乾燥することもありますが、これから春から夏にかけて、皮脂分泌が盛んになって毛穴が詰まりやすくなる時期にはぴったりかと思います。

日本ではまだ美白剤としてアゼライン酸を使用することは一般的ではなく、肝斑に処方されることも少ないと思うのですが、(アゼライン酸自体少し刺激もあるからなのか、ハイドロキノンなどのが美白剤としては強いからなのか。)

肝斑は炎症を抑えることが大事なので、肝斑への可能性も感じています。

 

DRX AZAクリアは15g 1,980円

MLAクリアエッセンストナー 4,950円  です

 

スキンケアは肌質によっておすすめが変わるので、診察の上個々の患者様に合うものをおすすめさせていただいております!


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