院長ブログ

当クリニックでは、患者様お一人お一人の肌の状態に真剣に向きあい、
健康で美しいお肌づくりをサポートいたします。

最近話題のECM製剤ってなんだ???PN製剤とどう違うの?どちらがいいの?

2024.06.20

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こんにちは。東京日比谷、ゆかスキンクリニック院長の青木由佳です。
先日ご案内した、肝斑プレミアムプランが大好評で、ドクター仲間にもいいプランだね!といっていただけて、嬉しいです。

傷んでしまったお肌を再生していくには、やはりお肌を破壊していくこと、アブレイティブな治療が必要かと思いつつ、
でも傷んでしまっているお肌はすでに慢性炎症がおきやすいお肌になっているので、回復も弱く・遅い。
そこを助けるのがECM製剤や肌質改善タイプのヒアルロン酸・PN製剤やジュベルックなどのPDLLA製剤。

当院でも数年前にくらべるとECM製剤を使う機会が増えてきました。
特にこれから夏の時期はメラニンを刺激するような炎症を起こすレーザーなどはすこし使いずらい時期になりますので、
こういう時期はたるみなどメラニンを刺激しないようなHIFUやRFの治療や、骨格や顔のバランスを整えるヒアルロン酸注入やECM製剤をはじめとした肌育系の注射など、あまり破壊的でない治療がおすすめです。

そもそもECM、ECM製剤ってなに?という方へ説明すると
ECMっていうのは『細胞外基質』細胞以外の成分のことです。
真皮には
『線維芽細胞』『マクロファージ』『マスト細胞』『白血球』など細胞成分があって、
細胞はぎちぎちに密接しているのではなくて、隙間があります。その隙間を埋めて、皮膚の構造を支えたり、細胞同士の伝達を助けたり、細胞の健やかな代謝を助けているのが『ECM』です!

ECMの成分は主に繊維芽細胞がつくっています。

  1. コラーゲン皆様もお馴染みの健康で美しいお肌に大事な成分!皮膚の強度と構造を提供します。
  2. エラスチン:弾力性を提供し、皮膚が伸びたり戻ったりする能力を支えます。
  3. グリコサミノグリカン(GAGs)およびプロテオグリカン(Proteoglycans: ヒアルロン酸、デコリン、ペリカンなどが含まれ、細胞外マトリックスの水分保持、弾力性、圧力抵抗を提供します。

 

このECMは細胞が健全に働くために大事な要素なのですが、紫外線や老化やいろんなストレスで

成分の組成が変わってきたり、減ってきたりして、細胞の機能が上手く働かなくなって元気がなくなってきます。

 

 

そこで、ECMの材料となるアミノ酸やECMの一つでもあるヒアルロン酸を補うことで、

ECMの状態をよくして、細胞の機能をよくして、さらにコラーゲンなどの生成分泌を促進するのがECM製剤です。

よくECM製剤と比較されるのが、ポリデオキシリボヌクレオチドPNを使ったリジュランやリズネ。(プルリアルもPNですね!)

 

なかなか、難しいので、簡単にわかるように大好きな『はたらく細胞』風に擬人化してみました!

いかがでしょう。

『ECM製剤』と『PN(ポリデオキシリボヌクレオチド)』の違いについては

ECM製剤とPN製剤はコラーゲンを刺激して増やして肌の状態を良くする効果がとても似ているので、どっちがいいんだろうと思っている患者さんも多いと思います。正直私たちドクターもどう使い分けたら良いのか、まだ明確な使い分けというのはないと思います。

ここからは私の独断と偏見による意見になりますが、

作用として、PN製剤は細胞に直接働きかけて、傷んだ細胞の修復や・細胞増殖の材料になり、コラーゲンやエラスチンを増やしたり、炎症をおさえたり、血流をよくしたりといういろんな効果があります。

ECM製剤はECMの成分を補充することで、真皮の細胞が働く環境をととのえて、働きやすくしてコラーゲンやエラスチンの生成をサポートします。

なので、どちらがよいとかではなく、どちらも細胞にとっては必要なのですよね。

ただ、細胞に直接作用するという意味で、私はより傷ついた細胞に対してはPNがよいなという印象で、

私はとにかく『傷』や『深く刻まれたシワ』にはPN製剤をおすすめすることが多いです。

こちらもPN1回の経過です。

刻まれた傷って本当に治しにくいのですが、PNは本当によく効くのですよね。その経験から私はすっかりPN大好きドクターなのです。

あとは抗炎症効果や血流改善効果を期待して、アトピーなどで湿疹が慢性化して色素沈着しているところなどにも好んで打ちます。

対してECM製剤は非架橋のヒアルロン酸が含まれているのもあってか、施術後みずみずしさも残る印象です。

非架橋で低分子だと、そこまで長くのこらないはずなのですが、それでもやはり水分保持効果を残していってくれる印象で

目周りの小皺などにはECMが良いかなぁとおもったりしています。あとは単純にPN製剤が通常1ccなのに対しスネコスは3〜3.5ccほどあるので、より広い範囲に打てるので、お顔全体の肌質改善だとECM製剤のスネコスをお勧めする場合が多いです。

ニキビ跡に対しては、ニキビ跡も『瘢痕』や『炎症』によるものなので、PN製剤がお勧めでしょうか。

とはいえ、ECM製剤でとっても良い経過を辿っている人もいるのですよね。

瘢痕で硬くなっているのはコラーゲンのタイプや、エラスチンの減少によるものなので、ECM自体の作り替え(リモデリング)が必要で、ECM製剤自体もやはり効くんだと思ってます。

最近はジュベルックなどもコラーゲン生成が強いので、ニキビ瘢痕には選択することが増えているのですが。

結局どれがいいんだ!!!って混乱させてしまったら申し訳ないのです。

本当にこのあたりはドクターの経験と好みと患者さんの希望によるのかなと思います。

個人的には若くて綺麗なお肌の人は細胞の損傷が少ないからPNまでは必要なく、ECM製剤で十分なんじゃないかと思いますが。

(そもそも綺麗なお肌のひとにECM製剤が必要かはあるのですが。)

文献などを読むのが趣味なので、色々よんでみたのですが、

PLA(PDLLA)はPNなどに比べるとコラーゲン増生がとても強く、PDLLAとPN/ECMには明確な使い分けがあるように感じます。

ただ、PN/ECMの比較はなかなかこれといったものが見当たりませんでした。

結論、PNとECMは補い合う関係なので、どちらがいいというよりも必要に応じて両方行うのがよいのかなという印象を受けました。

とはいえ、予算などもあるし、となると機序的にはより細胞が傷んでいるのが想定されるケースや炎症の直後で細胞がダメージを受けている場合はPN,水分が足りてない感じがつよければ、ECMなのかなぁと思っています。(何度も言うように私の感覚的なものなので、各ドクターの意見あると思っています)

ECMの理解を深め、製剤の理解を深めることで、より患者さんにあった製剤をご案内できるかと思っています!

さらに臨床経験を積み重ねて、また意見が変わるかもしれませんが、

今の所の私の使い分け方でした!

 

 

 

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