院長ブログ

当クリニックでは、患者様お一人お一人の肌の状態に真剣に向きあい、
健康で美しいお肌づくりをサポートいたします。

ボトックス最前線

2025.05.12

テーマ:

こんにちは! ゆかスキンクリニック院長の青木由佳です。

年に1度、フランスのパリで開催される由緒ある美容学会IMCAS PARIS 美容医療は結構地域や国により使える薬が異なったり、人種的な肌質の違い、文化的な悩みの違いなどがあって それぞれトレンドが違ったりするので、 世界の美容医療の現在地を知って、改めて日本で行われている美容医療が見直せるなとおもって 最近は毎年参加しています。

今年も1月の終わり〜2月の初めにあって、もう3ヶ月たってしまいましたが 改めて、IMCASパリからみる2025年ボトックスの最新トレンドと次世代製剤についてまとめてみました!

色々学んだことはあるのですが、すごくマニアックだけど毎年参加しているのが 各会社のボトックスの開発者たちがそれぞれのボトックスの特徴などについて話すセッション。 ボトックスって各製剤によりそれぞれ多少の特性の違いがあるといえど、 臨床効果や合併症の有無・抗体リスクの有無が製剤によって変わるみたいなのは文献的にもなかなかはっきりした違いもなく 製剤による違いの情報も少ないので、リアル開発者たちの声とそれぞれの対談(わきあいあいとしてて何気に仲良さそう。)が聞けるこのセッションはなかなかにレアな機会なのです。

①進化するボツリヌス毒素治療:

まず今年の一番のポイントは、長期間持続製剤 ガルデルマ社の『Relfydess』が発売されたこと!

従来のボトックスは持続期間がおよそ3〜6ヶ月なのですが、『Relfydess』はなんと6〜12ヶ月の持続!!! 効果発現も1日目からと早いのが特徴です。これは独自の『Pearl技術』というテクノロジーで高活性かつ、不純なタンパク質を除去(アクセサリータンパクなしの150kDa)し、Ready-toーUse(液体でそのまま作れる)のが特徴です。 EU圏ではすでに使用が始まっているようで、この『Relfydess』だけのセッションもありました。(他のかぶってみられなかった)

ボトックスはもう少し長く効いてくれたらいいのにっていうのは患者さんからの要望でよくあるので、 この『Relfydess』はそれに応える形になりますね!

待ち遠しいですが、残念ながら日本では未発売でまだ入手困難ってか不可能なのと、効果が持続するということは副作用が起きてしまった場合それも持続するということなので、海外でまず色々と試されてから、日本に入ってくるというのはそういった副作用についてのメリットデメリットを検討する上でもよいことだと思います。もう少し待ちましょう!

次に、ボツリヌス菌E型毒素=超短期型のボトックスの開発。こちらはボトックスといえばのアラガン社さんで開発中です。 長期持続の方が望まれるのに、思いっきり逆の超短期持続・・・ こちらは副作用が心配な方が初めてボトックスを行うときなどを想定しているようでした。

②今後のボトックスの行方

<分子量について>

アラガン社をはじめとした従来のボトックスは、毒素コア150 kDa=重鎖(100kDa)+軽鎖(50kDa) とアクセサリータンパク(750kDa)が組み合わさっていて、トータル900kDaの製剤(Daというのはダルトンのことで分子量の単位、kDaはキロダルトン)になっています。

このアクセサリータンパクには毒素コアを活性する作用があるという説もあったはするのですが、最新の製剤はアクセサリータンパクを除去した毒素コア150kDaのものになっていっているようです。

<動物性アルブミン不使用>

こちらもまた、ボトックスの毒素の安定?に動物(人)由来のアルブミンはアラガン社をはじめとした従来のボトックスには使われています。動物(人)由来のアルブミンは感染症の原因ともなりうるのでこちらも動物(人)由来のアルブミン不使用のアルブミンが出てきています。(とはいえ、ボトックス治療による感染の報告はありません)

<「Ready-to-Use」液体製剤>

従来の製剤は『粉』でそれをクリニックで溶解して使用していました!最近では「Ready-to-Use」液体製剤のものも出てきています。 これは製剤を調整する時のミスを減らす、すぐに使える、コンタミネーション(汚染リスク)が低いというメリットがあります。 ③その他 日本では使用されていませんが、Daxxifyというボトックス(アメリカでは使用されてるのかな?) 💉ボトックス150kDa毒素 + ペプチドがはいっていて、 ペプチドの作用でシワの動きをとめるだけでなく、コラーゲンやエラスチンを増やして刻まれたシワの改善にもアプローチできる製品出そうです。

 

③ボトックス製剤の比較

現在一般的なボトックスについてもまとめてみました。

販売されている国や適応承認によって同じ中身でも名称が変わってたりしてややこしいです。(これまた、ボツリヌス菌の菌株が一緒とかも実はある・・)

私なりに色々ファクトチェックはしたつもりですが、もし間違いがあったらごめんなさい。まさにボトックス戦国時代ですね…!

今後、どの製剤が主流になるのか、日本で使えるかどうか、厚労省の認可や価格帯なども含めて、しばらくは選択肢が増えたり変わったりしそうです。これからもアンテナをしっかり張って、アップデートしていきたいと思います。

※ちなみに、当院では現在「ボツラックス」と「ボトックス(アラガン製)」の2種類に絞って使用しています。

こちらは安全性という意味で「ボツラックス」はFDAの認可を受けており、比較的安価で提供できる、「ボトックス(アラガン製)」は日本の厚生労働省で認められているというポイントで選んでいます。

以前はCoretox(コアトックス)も取り扱っていたのですが、製剤が3種類あると患者さんにとってかえって迷いやすく、選択が分散してしまう印象があったため、いまはシンプルに2種類に厳選しました。

なお、900kDaの製剤(複合タンパクあり)と150kDaの製剤(複合タンパクなし)で、効果の持続性や抗体の出来やすさに関して明確な有意差は現時点では文献的にも見つかっていません。あくまで“今の製剤トレンド”という感覚でご参考いただけたらと思います。

Coretoxについても、もしご希望が多ければ今後またメニューに加えることも検討していますので、お気軽にご相談くださいね。

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