紫外線が強い時期の美容治療!
2025.06.10
こんにちは、ゆかスキンクリニック院長の青木由佳です。
「夏に美容治療しても大丈夫なんでしょうか?」
毎年この季節になると、患者さまからよくいただく質問です。確かに、紫外線が強くなる時期は、肌へのダメージが気になりますよね。特にメラノサイトという色素を作る細胞の働きが活発になるので、シミ取りなどの黒い色に反応するレーザー(ピコレーザーやルビーフラクショナルなど)は、この時期には不向きで、秋〜冬まで待ってね、とお伝えすることが多いです。
でも実は、紫外線ダメージから肌を守ってくれる美容治療があるのをご存じでしょうか?
紫外線を浴びると炎症が起こったり、活性酸素が発生したりして、お肌のバリアを壊すだけでなく、肌の機能が低下してターンオーバーがうまくいかなくなり、お肌がごわついたり、メラニンが作られたりします。さらに慢性的な影響として、後々のハリ弾力を低下させる「光老化」を引き起こしてしまうんです。
美容医療の効果を検証する上で、紫外線を照射して炎症を起こさせたり活性酸素を作らせたりした上で、治療でどれくらい防げたか、という検証結果を出すことがあります。
今回は、そんな科学的なエビデンスに基づいた「夏でも安心して受けられる美容皮膚科治療」を4つ、ご紹介します。
1. PDRN注射(ポリデオキシリボヌクレオチド):肌の修復力を高める“再生因子”
PDRNは、細胞のDNAを修復する働きを持つ「再生因子」として、肌の再生医療分野で注目されています。
✨ 紫外線ダメージからの保護と修復
研究では、紫外線(特にUVB)でダメージを受けた肌細胞を保護し、DNA損傷を修復する力があることが証明されています。PDRNは、細胞増殖やDNA修復に重要な役割を果たすアデノシンA2A受容体を活性化することが分かっているんです。
✨ 抗炎症・抗酸化作用で光老化を防ぐ
PDRNは、強力な抗炎症作用と抗酸化作用も持ち合わせています。これにより、紫外線による光老化で生じる色素沈着の改善効果も報告されています。肌の炎症を抑え、コラーゲンの産生を促進する働きもあるため、肌の再生力を底上げしたい方におすすめです。
- 参照文献:Novel Anti-Melanogenesis Properties of Polydeoxyribonucleotide, a Popular Wound Healing Booster
▶ こんな方におすすめ
- 夏の紫外線ダメージが気になる方
- 敏感肌で炎症を起こしやすい方
- 肌の再生力を底上げしたい方
当院での施術
当院では、リズネというドクターが手打ちで細かく注射していく方法と、ケアシスというエレクトロポレーション(電気的な力で細胞に孔を開けて薬剤を浸透させる)でPDRNを導入する治療があります。
2. 高周波(RF)治療:POTENZA(ニードルあり)・POTENZAダイヤモンド・デンシティ
高周波(RF)治療は、肌の深部に熱エネルギーを与えることで、肌のコラーゲン生成を促進し、たるみやしわを改善する治療です。
✨ 紫外線による光老化を改善
RF治療は、紫外線による「光老化」の改善を目的として、皮膚科領域で古くから活用されてきました。臨床研究でも、数回のRF治療により、肌のハリや弾力に欠かせないI型・III型コラーゲンの増加や、肌の質感改善が確認されています。
✨ メラニン抑制と抗炎症作用
RF治療は、メラニンを刺激する作用がないばかりか、メラニンの生成を抑える作用もあるため、肝斑の治療にも使われます。また、炎症を抑えたり、活性酸素の量を減らす効果も期待できます。
- 参照文献:Attenuation Effect of Radiofrequency Irradiation on UV-B-Induced Skin Pigmentation by Decreasing Melanin Synthesis and through Upregulation of Heat Shock Protein 70
当院での施術
当院では、ニードルRFのPOTENZA(ポテンツァ)のほか、ニードルのないPOTENZAのモードであるダイヤモンド、そしてしっかりたるみに効くデンシティの3つの治療があります。お肌への刺激を少しでも少なくしたいケースでは、ダイヤモンドやデンシティがおすすめです。
(また後日お知らせしますが、POTENZAのDDRという新しいモードが今度新メニューで導入されます!より浅い層をターゲットに加熱する治療で、ダイヤモンドとのコンビネーションでご案内予定です✨)
3. PDLLA注射(ポリ-D,L-乳酸)ジュベルックとPLLAマックーム
✨ 紫外線ダメージからの保護と色素沈着の軽減
PDLLAは生体内に入れるとだんだんと分解されて乳酸になり代謝されてなくなりますが、その過程でコラーゲンを増やしたり、炎症を抑えたり、酸化ストレスを軽減することが報告されています。 さらに、最新の研究ではPDLLAがUVB照射による皮膚の色素沈着を軽減し、基底膜の破壊を抑制する効果があるというデータも出ています。これは、UVダメージによって引き起こされる肌の構造的変化や色素沈着への直接的なアプローチを示しています。
✨ 持続効果で根本的な肌質改善
PDLLAはコラーゲン合成を促し、組織再生を促進することで、肌の根本的な若返りをサポートします。薬剤が分解されるのに1〜2年かかると言われており、長期持続効果も期待できるため、たまにしかクリニックに来られないという方にもおすすめな治療です。
当院での施術
ジュベルックを顔全体に注射するのはそれなりに痛みがあるため、当院ではニキビ跡のクレーター治療に使うことが多いです。肌質改善だけが目的であれば他の治療をおすすめすることが多いですが、炎症肌の方の場合、ニードルRFのPOTENZA水光モードでお薬を入れ込めるので、PLLAマックームを導入することもあります。
4. 肌育注射(非架橋ヒアルロン酸+アミノ酸):肌のバリア機能を高める「潤いの盾」
肌育注射は、非架橋ヒアルロン酸とアミノ酸を組み合わせた製剤で、肌本来の力を引き出し、内側から健康な肌を育むことを目指します。スネコスやジャルプロといった製剤がこのカテゴリに含まれます。
✨ 紫外線対策をサポートするバリア機能強化
ヒアルロン酸は紫外線を直接ブロックするわけではありませんが、肌のバリア機能を強化して、環境ストレスから肌を守る働きがあります。非架橋ヒアルロン酸は、水のようにさらっとしていて、肌全体にふっくらとした透明感を与えてくれます。弾力があり水分をたっぷり含んだ肌バリアは、紫外線による乾燥や水分損失のリスクを最小限に抑え、日焼け止めの効果を強力にサポートします。
✨ 光保護効果と抗炎症作用
ヒアルロン酸は分子量によって作用が異なりますが、基本的には中分子〜高分子のものが多く、抗炎症効果も期待できます。UVB照射前後にヒアルロン酸を適用することで、ヒトの皮膚細胞を紫外線誘発性のダメージから保護できることが示されており、太陽光の有害な影響から肌を守る保護剤として作用する可能性が期待されています。真皮のECM(細胞外マトリックス)という構造を健全に保つことで、お肌の良い状態を保ってくれます。
まとめ:
今回ご紹介したこれらの治療は、夏の肌にとって非常に心強い味方です。
- 紫外線ダメージの修復をサポート
- 炎症や活性酸素を抑えて光老化の影響を軽減する
- バリア機能を強化し、外的ストレスに負けない肌へ導いてくれます!
もちろん、帽子や日傘・日焼け止めでの紫外線対策は必須ですし、できればトラネキサム酸や飲む日焼け止め、リポCなどで内側からの炎症や活性酸素対策も一緒に行っていただきたいです!
「夏は美容治療を控えるべき…」と思っていた方、 紫外線から肌を守りながら、肌を回復させて、秋冬に向けて最高の肌コンディションを整えていきましょう。
ご自身の肌に最適な施術を見つけるために、ご相談はいつでもお気軽に、ゆかスキンクリニックまでどうぞ。